瞑想オカン

ヴィパッサナー瞑想修行に勤しむ四十路オカンの日記

五戒と八正道

五戒や八正道と瞑想修行は、切ってもきれない間柄にあるのだな、という事に最近ようやく気がついた。

私がヴィパッサナーを始めたのは、ある人に対する激しい怒りと嫌悪感を鎮めるためだった。
初めの頃は、言うなれば一種のアンガーマネジメントのようなつもりで瞑想に取り組んでいたのではないかと思う。

ヴィパッサナーが仏教の瞑想法であることはもちろん理解していたが、五戒とか八正道とかいうのは、なんというか、手垢のついた道徳観を並べただけのものみたいなイメージで捉えていて、正直なところ、それらについて真剣に理解しようと言う気持ちはあまり抱いていなかった。

けれど、ある時を境に五戒や八正道をきちんと守りたい」という気持ちが自分の中に芽生え始めた。きっかけは瞑想中のちょっとした体験だったと思うが、いずれにせよヴィパッサナーを初めて5年目にして、私は酒もタバコも薬(睡眠薬とか)も止めた。
嘘は極力つかないようにし、殺生からなるべく遠ざかり、淫らな行為…はもともとしていなかったけど(笑)、今の私は5年前の私に比べて、随分真面目になったと思う。

八正道の実践は、正直まだまだできていないことも多いのだけれど…


五戒を守り、八正道を実践しながら生きることは、心を育てていくために必要不可欠な事だと思う。

なぜ殺してはいけないのか。
生き物を殺せば自分の心に必ず苦しみが生まれるからだ。

なぜ嘘をついてはいけないのか。
嘘をつけば周囲の人との関係が悪化し、周囲の人との関係が悪化すれば自分の心に苦しみが生まれるからだ。

なぜ酒を飲んではいけないのか。
酒を飲むと意識が不確かになり、心をコントロールするのが難しくなるからだ。
そして、コントロール不能な状態でやらかしてしまったあんなことやこんなことは、後々必ず自分の心を苦しめることになる。

「手垢のついた道徳観」、などと軽視していたかつての自分が恥ずかしいが、生きている間にこうして理解する事が出来て、本当によかった。


道徳は、外から手渡された言葉だけをなぞっていても、その真意にたどり着くのは難しい。
けれど、一つずつ丁寧に紐解いていくと、そこには全て真理につながる深い意味があるのだと思う。